おなかを育てる基礎知識3
本当は怖い便秘?
便秘知らずは健康長寿の秘訣
便秘とは、いったいどんな状態をいうのでしょうか。「何日かに一度しか出ない」「毎日出るけど、すっきりしない」「思いきり力んでも、ほとんど出ない」「硬いうんちしか出ない」 …こういった症状はすべて便秘です。
日本消化器病学会『慢性便秘症診療ガイドライン』では、「本来体外へ排出すべき糞便を充分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。つまり、お通じで満足感が得られず、すっきりしない状態が便秘なのです。
「それなら、下剤で出してしまえばいい」こんな風に考える人はいまだに多いです。しかし、下剤では根本的な解決にはなりません。なぜなら、便秘の主な原因は腸内環境の不調だからです。
便秘は若い女性がかかるものというイメージがあるかもしれませんが、じつは全世代共通の悩みであり、日本だけでも便秘で悩んでいる人が500万人以上いるといわれています。腸内環境の不調はいまや「国民病」なのです。あなたのまわりにも黙っているだけで、おなかのことで悩んでいる方が大勢いるはずです。
健康には快食、快眠、快便が大切とよく言われます。つまり食事や睡眠と同じくらいスムーズな排泄も大切と言うことです。実際に便秘を放っておくと寿命が短くなるという研究報告があります。トイレで強くいきむことで心臓発作や脳梗塞を起こして命の危険につながることもあるそうです。便秘になったら放っておかず、元気なおなかで健康長寿を目指しましょう!
監修:理学療法士・整腸セラピスト 坂井正宙先生
参考文献:坂井正宙著 『図解入門 よくわかる 便秘と腸の基本としくみ 腸から健康を作る』(秀和システム)