おなかを育てる基礎知識6
正しいトイレの姿勢って?
理想的なトイレ姿勢は「考える人」!?
「今日もうんちがでなかった…」と、ため息をついているあなた。もしかすると、トイレでの姿勢が原因かもしれません。
トイレでいきむときには、前かがみになるのがもっとも排便しやすい姿勢です。この姿勢、じつは和式トイレでの排便姿勢に似ているので、経験的にご存じの方も多いかもしれません。
解剖学的に解説しますと、前かがみの姿勢で排泄しやすくなるのは、直腸と肛門のなす角である「直腸肛門角」が一直線に近くなるためです。ふつうの座り方では、直腸肛門角に角度がついており、便が出にくい状態です。しかし、前かがみになると、恥骨直腸筋がゆるみやすくなります。すると、便がスムーズに出やすくなるのです。
前かがみになると便は出やすくなりますが、それでもなかなか出ないこともあります。そんな時にあまり強くいきむと痔になりやすいです。それだけでなく、血圧が高めの方は血圧が上がって脳卒中になる危険性も高くなります。
事実、トイレで脳卒中を発症する人は意外に多いのです。いきむのは血圧が上がらないようにほどほどに。息を吐きながらおなかに力を入れると、血圧上昇を抑えることができます。
トイレでの姿勢に注意するだけでなく、腸内環境を整えて、いきまずにすむような気持ちのよい排便をこころがけましょう。

監修:理学療法士・整腸セラピスト 坂井正宙先生
参考文献:坂井正宙著 『図解入門 よくわかる 便秘と腸の基本としくみ 腸から健康を作る』(秀和システム)