おなかを育てる基礎知識12
ダイエットと腸内フローラ
ダイエットにも影響する
腸内フローラ
「腸内細菌の力でダイエット」こんな見出しのテレビ番組を見かけることが増えました。こういった番組は「痩せるには善玉菌を増やし腸内環境を整えることが大切」という結論になっていると思います。
今回はダイエットと腸内環境の関係を解説していきます。理由を深掘りして知っておくと、継続して腸内環境の改善に取り組みやすいでしょう。
腸内細菌の力で痩せるには、日和見菌が重要なカギを握っています。日和見菌にはさまざまな種類があり、悪玉菌に味方しやすい菌と善玉菌に味方しやすい菌がいます。悪玉菌に味方しやすいものの一つがフィルミクテスです。一方、善玉菌に味方しやすいものの一つがバクテロイデスです。
フィルミクテスは、食物繊維などからエネルギーをたくさん取り出す腸内細菌です。一方、バクテロイデスは、フィルミクテスほどうまくエネルギーを取り出せません。有名な科学雑誌『Nature(ネイチャー)』では、太っている人の腸内フローラにはフィルミクテスが多く、痩せている人の腸内細菌にはバクテロイデスが多かったと紹介しています。つまり、肥満の人はフィルミクテスが多く、必要以上にエネルギーを吸収していることが示唆されます。これでは食事制限をしていても痩せないのは当然かもしれません。
フィルミクテスが肥満の原因ならば、痩せるためにはその数を減らさなければなりません。そのためには善玉菌優勢な腸内環境を作ることが必要です。善玉菌を増やすには、乳酸菌をしっかりと摂取することが大切です。腸内フローラを整え、健康的な体重を維持しましょう。

監修:理学療法士・整腸セラピスト 坂井正宙先生
参考文献:坂井正宙著 『図解入門 よくわかる 便秘と腸の基本としくみ 腸から健康を作る』(秀和システム)